更年期のイライラが止まらない原因は?家族にあたってしまう時の解消法も解説

「40代後半になってからイライラが止まらない」「家族にあたってしまって自己嫌悪になる」と悩んでいる更年期女性は多いもの。

ホルモンバランスが大きく変わる更年期は、身体だけでなく心にも大きな影響を与えます。

周囲の人も「突然人が変わったようにイライラするから、どうしたらいいのか」と戸惑ってしまいますよね。

今回は、更年期のイライラが止まらない原因や、家族にあたってしまう時の解消法を解説します。

更年期にイライラが止まらない原因は?いつまで続く?

更年期になると、以前は気にならなかった些細なことにイライラしたり、怒りっぽくなったりすることがあります。

なかには「自分の性格が悪いのではないか」「心の余裕がない自分がいけないんだ」と罪悪感が湧いてしまう人も。

ここからは、更年期にイライラする原因や、いつまで症状が続くのかについて解説します。

女性ホルモン分泌量の低下によってセロトニンが不足するから

加齢によって卵巣機能が低下すると、女性ホルモンの分泌量が低下します。

すると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の量も減少してしまうため、感情をコントロールできず、イライラや落ち込みが起こりやすくなるのです。

ホルモンバランスの変化やストレスで自律神経が乱れるから

ホルモンバランスが乱れると、女性ホルモン分泌と同じく脳の視床下部が司る自律神経が乱れるため、イライラしやすくなります。

更年期世代は介護や仕事、子育てなど、環境の変化が多い年代です。

こうした事情で慢性的なストレスにさらされていることも、イライラなどの更年期症状の発症や悪化に関わっているといわれています。

閉経後にイライラなどの精神症状が落ち着くことがほとんど

閉経後、体内の女性ホルモンの量が少ない状態で安定すると、イライラや不安感、うつ症状などの精神症状が落ち着くことがほとんどといわれています。

症状が自然に落ち着くまでは、生活習慣を整えたり、リフレッシュ法を取り入れたりすることで、心身のバランスを整えることが大切です。

更年期障害のイライラで家族にあたる時の適切な対応は?

更年期障害によるイライラが強く、つい夫や子供にあたってしまう女性は多いです。

自分でもコントロールできないイライラや落ち込み、うつ症状に悩み、罪悪感を抱くことも。

更年期のイライラを乗り越えるのは、家族の理解や協力が必要不可欠です。

ここからは、家族ができる対応について解説します。

心身バランスの変化でイライラしていると知る

更年期世代の女性がイライラするのは、性格のせいではなく、ホルモンバランスの変化にともなうものだと、本人だけでなく周囲の人も理解することが大切です。

更年期障害は、イライラをはじめとする症状で日常生活に支障が出るものをさします。

本人もコントロールできないつらさを抱えていると知りましょう。

家事や子育てを分担する

更年期女性は、家事や子育てでプレッシャーや悩みを感じていることが多いため、つらい気持ちを労わりつつ、女性の負担を軽減するために、いつも以上にサポートすることが大切です。

  • 毎日掃除しなくても大丈夫だよ
  • 食事を作っておくから休んでいてね
  • 気分転換に出かけてきたらどう?

このような具体的な声かけとともに、家事や子育てを引き受けることで、気持ちが楽になる女性も多いでしょう。

ほかの病気が隠れている可能性を疑う

イライラしている場合、更年期障害以外にも、気分の高ぶり(躁状態)と気分の落ち込み(抑うつ状態)をくり返す「双極性障害」や、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「バセドウ病」などの病気が原因の可能性もあります。

「更年期のせいだろう」と決めつけずに、医療機関への受診をすすめてあげるのも大切です。

更年期のイライラを緩和する対処法

更年期のイライラを緩和するためには、規則正しい生活を送ることが大切です。

ここからは、日々の生活の中で意識したいことを紹介します。

バランスのとれた食生活を意識する

栄養バランスを意識した食事をとることも、更年期によるイライラを改善するのに効果的です。

不規則な食生活は、自律神経やホルモンバランスを乱す原因となります。

バランスのとれた食事の中で積極的に摂取したい代表的な栄養素は、次のとおりです。

  • カルシウム:気持ちを安定させる効果が期待できる
  • ビタミンC:ストレスで消費される
  • 大豆イソフラボン:女性ホルモンの1つである「エストロゲン」と似た働きをもつ

適度に運動する

更年期障害による症状を緩和するには、適度な運動がおすすめです。

身体を動かすことでのストレス発散や、心地よい疲労感が睡眠を助けることが期待できます。

朝日を浴びるとセロトニンが分泌されるため、この時間に外でウォーキングやジョギングなどの有酸素運動をおこなうとよいでしょう。

睡眠の質を高める

眠りの質を高めることで、心が安定しやすくなります。

しかし、イライラやホットフラッシュなどの更年期症状が夜間に起こり、不眠に悩む人も少なくありません。

  • 就寝の1時間半前を目安に湯船に浸かる
  • ラベンダーやローズなどのアロマや、カモミールなどのハーブティーを取り入れる
  • 日中に運動する

睡眠の質を高めるための工夫を取り入れて、良質な睡眠を確保しましょう。

更年期のイライラにおすすめな漢方薬

更年期のイライラに漢方薬が効果的なケースもあります。

ここからは、更年期のイライラにおすすめの漢方薬をみていきましょう。

ただし、漢方薬は体質や症状によって合うものが異なるため、医師や薬剤師への相談の上で服用することがおすすめです。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遙散は、交感神経の興奮で引き起こされるイライラや不眠症などに使われる薬です。

婦人科三大漢方薬の1つともいわれ、ホルモンバランスの乱れによって生じる不調の改善に役立ちます。

のぼせを鎮めて、全身の血行を促進する効果も期待できますよ。

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

抑肝散加陳皮半夏は、神経が高ぶって怒りっぽい、イライラする人に使われる漢方薬です。

ストレスによる身体への影響を取り除いたり、自律神経を安定させたりする効果が期待できます。

月経や更年期などの、ホルモンバランスの変化にともなって現れる精神症状やイライラによく使われる漢方薬です。

更年期障害によるイライラは医療機関を受診すべき?

コントロールできないほどのイライラによって日常生活に支障が出ている場合は、婦人科を受診することをおすすめします。

症状に応じて、女性ホルモンを体外から補う「ホルモン補充療法」や、漢方薬による治療がおこなわれますよ。

精神症状が強い場合は精神科・心療内科を受診し、向精神薬を服用したり、カウンセリングを受けたりすることが効果的な場合も。

更年期症状は適切な治療で改善するケースが多いため、無理せずに医師に相談しましょう。

更年期のイライラはホルモンバランスや自律神経の乱れが原因!周囲の理解を得て乗り越えよう

更年期はホルモンバランスが大きく変化し、セロトニンの分泌が減るため、イライラしやすい時期です。

ホルモンバランスやストレスが自律神経に大きく影響することも、イライラの原因の1つ。

閉経後には症状が落ち着くケースがほとんどのため、自然に緩和するまではセルフケアをおこないましょう。

更年期のイライラを乗り越えるには、家族をはじめとした周囲の人の理解とサポートが大切です。

イライラが強く、日常生活に支障が出ている場合は、婦人科や精神科・心療内科の受診も検討してくださいね。

この記事のまとめ
  • 更年期のイライラは、女性ホルモン減少によるセロトニン量の低下や自律神経の乱れが原因
  • 閉経後、体内の女性ホルモンの量が少ない状態で安定すると、イライラなどの精神症状が落ち着く
  • 周囲の人は症状を理解し、生活をサポートしたり、優しい声かけをしたりすることが大切
  • 更年期のイライラに加味逍遙散などの漢方薬が効果的なことも
  • 症状が強く、日常生活に支障が出ている場合は、婦人科で医師に相談して治療を受けよう