「仕事や家事をしなければならないのに、やる気が出ない、何もしたくない」と感じてつらい思いをしている女性は多いもの。
更年期世代である40代〜50代の女性は、キャリアや家庭環境の変化を迎える人も多いため、倦怠感や気力の低下に悩みやすいですよね。
今回は「やる気が出ない、何もしたくないと感じるのは更年期のせい？」という疑問を解説するとともに、漢方薬や改善方法を解説します。
40代～50代の女性が「やる気が出ない」「何もしたくない」と悩むのは、更年期症状の可能性があります。
更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた期間のことで、「ゆらぎ世代」と呼ばれることも。
ここからは、更年期症状が現れる原因についてみていきましょう。
女性の体内では30代後半頃から卵巣機能が低下し、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が減少します。
体内のエストロゲンが急激に減ると脳が混乱するため、自律神経が乱れやすくなり、心身につらい症状が現れるのです。
また、不安を和らげる作用があるプロゲステロンの代謝物も減少するため、気分の落ち込みを引き起こすこともあるでしょう。
更年期を迎えると、女性ホルモンの減少によって、精神を安定させる働きをもつセロトニン分泌量が低下し「やる気が出ない」「何もしたくない」と感じやすいです。
エストロゲンには、セロトニンなどの脳内神経伝達物質の働きを守る作用があるため、分泌量が低下する更年期に精神症状に悩む人が多いのでしょう。
ゆらぎ世代の無気力感や倦怠感は、更年期障害以外に原因が隠れていることもあります。
「更年期なら誰でも経験するものだ」と我慢するのではなく、つらい症状を適切な医療機関で相談することが大切です。
ここからは、更年期障害以外でのやる気が出ない、何もしたくない原因を解説します。
更年期世代である40代〜50代は、子どもの進学や独立、両親の介護、昇進や転職によるキャリアの変化などが訪れる時期です。
環境や生活の変化によって、心身にストレスがかかり、疲労感や気力の低下を抱くことがあります。
気分の落ち込みや意欲の低下がある場合、うつ病の可能性があります。
更年期女性はホルモンバランスの変化によって、更年期うつと呼ばれる抑うつ症状に悩む人も多いです。
ただし、更年期症状だと思っていたら実際はうつ病だったり、気付かぬうちにうつ病に移行していたりするケースも多いため、自己判断せずに精神科や心療内科で相談するのがよいでしょう。
ホルモンバランスの変動だけでなく、甲状腺の病気やビタミンD不足・貧血・心臓の病気・肝臓の病気で、倦怠感や、やる気の低下が現れることも。
「更年期症状だろう」と決めつけず、医療機関で原因を調べてもらうことをおすすめします。
更年期でやる気が出ない、何もしたくない時は、生活習慣を見直してみるとよいでしょう。
自律神経の乱れが改善し、気持ちも上向きになっていくはずですよ。
ここからは、更年期症状の対処法を解説します。
更年期特有のつらい精神症状を改善するためには、「肝」「腎」の働きを補う食材を取り入れるとよいでしょう。
肝の働きをよくする食材は、以下のとおりです。
- クコの実
- あさり
- セロリ
- ニラ
- 豚肉
腎の機能を上げるには、以下の食材を取り入れましょう。
- 黒豆
- 黒ゴマ
- 黒きくらげ
- 昆布
- 牡蠣
- タラ
上記の食材を取り入れた、バランスのよい食事を心がけることが大切です。
更年期の気力低下や疲労感を和らげるために、適度に運動してみるのもおすすめです。
運動には、ストレスを発散とともに、自律神経のバランスを整えて、つらい症状を緩和する効果が期待できます。
ウォーキングやストレッチなど、毎日5分〜10分を目安に取り入れましょう。
日光を浴びることで、セロトニンの分泌が増えるといわれているため、日光浴も兼ねて朝に運動するのがおすすめです。
アロマの香りには、自律神経を整える効果が期待できます。
気分を上げる効果が期待できるアロマは、以下のとおりです。
- ジャスミン
- イランイラン
- ローズ
- ラベンダー
- ローズマリー
アロマオイルをマッサージに使ったり、寝る前のリラックスタイムに嗅いだりするとよいでしょう。
だるくてやる気が出ない、何もしたくない時は、以下のツボを押してみてください。
- 百会（ひゃくえ）：両耳の1番高い場所を結んだラインの頭の頂点にある、万能のツボ
- 丹田（たんでん）：おへそから指3本～4本下にある、心身のリラックス効果が期待できるツボ
- 足三里（あしさんり）：膝のお皿の外側にあるくぼみから指4本下にある、婦人科系に効果が期待できるツボ
- 湧泉（ゆうせん）： 足でグーを作った時、足裏で1番へこむ部分にある、気持ちを落ち着かせてくれるツボ
ツボを押す時は、強すぎず気持ちいい程度の刺激でおこないましょう。
また、足浴で温めるのもおすすめです。
更年期による精神症状は、漢方薬の服用で改善することも。
- 当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）：疲れやすく貧血傾向、冷えやむくみがある人向け
- 桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）：体力はあり、冷えやのぼせにも悩む人向け
- 加味逍遙散（かみしょうようさん）：体力がなく疲れやすく、精神症状が強い人向け
- 加味帰脾湯（かみきひとう）：心身が疲れて、睡眠が十分にとれない人向け
- 八味地黄丸（はちみじおうがん）：疲れやすさと冷え、尿トラブルがある人向け
ドラッグストアや薬局で購入する際に、薬剤師に相談して自分に合った漢方薬を選んでもらうとよいでしょう。
やる気の低下や無気力感で悩んでいる時は、つらい状態を放置せずに婦人科を受診するのがおすすめです。
症状がつらく、じっくり話を聞いてもらいたい時は、更年期外来や女性外来を受診するのもよいでしょう。
更年期うつは、ホルモン補充療法で改善することも。
ホルモン補充療法とは、エストロゲンを外から補う治療法で、ホルモン剤には貼り薬や内服薬、塗り薬などがあります。
症状の度合いによっては、向精神薬や漢方薬が処方されることも。
「やる気が出ない」「何もしたくない」と感じるのは、更年期が影響していることが多いです。
一方で、うつ病や肝臓疾患、心臓疾患などが隠れている可能性もあるため、医療機関で検査してもらうことをおすすめします。
更年期による精神症状を改善するには、食生活の見直しや運動を実践するとともに、ツボ押しやアロマでリラックスするのがよいでしょう。
やる気が出ない、何もしたくない気持ちが、漢方薬の服用で和らぐことも。
自分に合った方法で、更年期を快適に過ごしましょう。
- 40代～50代の女性が「やる気が出ない」「何もしたくない」と悩むのは、更年期症状の可能性あり
- 卵巣機能の低下で女性ホルモンが減少すると、自律神経の乱れからつらい症状が現れることも
- 更年期障害だけでなく、うつ病や肝臓疾患などの可能性もあるため、医療機関を受診しよう
- 食事内容の見直しや運動習慣によって更年期症状が和らぐことも
- やる気の低下や無気力感で悩んでいる時は、我慢せず婦人科や更年期外来、女性外来を受診しよう
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