「40代になってから生理周期が乱れやすい」「生理が来るのが早いのはなぜ?」と悩んでいる人は多いです。
40代女性の身体は大きな変化を迎えるため、生理周期も乱れやすいもの。
しかし、生理周期が乱れやすい原因がわからないと、不安が募るのではないでしょうか。
今回は、40代に生理が短くなる・乱れやすい状態になる原因や、婦人科を受診する目安を解説します。
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月経周期は「生理が始まった日(出血が始まった日)を1日目として、次の生理が始まる前日までの日数」です。
国際的な定義(FIGOで用いられる区分)では、正常月経周期は24〜38日とされます。
この範囲から外れる場合は、次のように整理できます。
- 24日未満:周期が短い(頻発月経)
- 38日を超える:周期が長い(稀発月経)
- 90日以上、生理が来ない:無月経として評価が必要になることがある
また、出血の「日数」と「量」も大切です。FIGOの定義では、出血が8日を超える場合は過長月経と整理されます。
経血量は厳密に測れないことも多いので、生活に影響が出ているか(仕事や外出を控える、夜間も頻回に交換が必要、貧血症状がある)を基準に考えると判断しやすくなります。
40代で周期が乱れやすくなる中心は、卵巣機能の低下に伴うホルモン分泌の変動です。
卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)の量が揺れると、排卵のタイミングが一定しにくくなり、周期が短くなったり長くなったりします。
さらに、40代は仕事・育児・介護などで負荷が増えやすく、睡眠不足やストレスが重なることがあります。
ストレスは自律神経を乱し、排卵に関わるホルモンの指令系に影響して、月経の乱れとして現れることがあります。
閉経は「月経が12か月来ない状態を確認したうえで、1年前を振り返って確定する」と定義されます。
その前段階では、周期や出血が変化しやすく、次のようなパターンが見られます。
- 周期が短くなる
- 周期が長くなる
- 出血が不規則になる(生理の間に出血が混じる)
- 出血量が増える、または減る
- 出血が長引く
ここで重要なのは、「更年期の変化」と「病気による出血」は見た目が似ることがある点です。
出血に違和感があるときは、次章の“見分け方”と“受診基準”を先に押さえておくと安心です。
40代になり、生理周期が乱れるようになって、戸惑いを覚える人は多いでしょう。
経血量の変化もあるため、生理についての悩みが増えがちな時期です。
ここからは、40代に入ると生理周期が短くなる理由を解説します。
生理が24日未満の間隔で繰り返す場合、まず考えるのは次の2つです。
1)排卵までの期間が短くなる/排卵が安定しない
40代は卵巣機能が低下し始める時期で、排卵のリズムが一定しにくくなります。その結果、周期が短くなることがあります。
2)「生理と思っている出血」が生理ではない
少量の出血が不規則に起こると「生理が早い」と感じやすいです。
特に、いつもの生理と違う出血(色・量・痛み・タイミング)が続く場合は、不正出血として原因検索が必要になることがあります。
周期が短いこと自体よりも、短い状態が続いているか、そして出血量や痛みが変化していないかをセットで確認することが大切です。
生理が38日を超える間隔で来る場合は、排卵が起きにくい「排卵障害(無排卵周期を含む)」が関係することがあります。
排卵がないと黄体ホルモン(プロゲステロン)が十分に出ず、子宮内膜が不安定になり、出血が遅れたり、急にまとまって出血したりします。
次に当てはまる場合は、早めに相談を検討してください。
- 貧血症状(立ちくらみ、動悸、息切れ、強い倦怠感)がある
- 生理が来ない状態が続く
- 久しぶりの出血が大量、または長引く
「月に2回出血がある」は、次のいずれかで起きることがあります。
- 排卵が不規則になり、生理の間に出血が混じる
- 子宮の構造的な原因(子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、腺筋症など)
- 子宮内膜のトラブル(過形成など)
- 子宮頸部や膣の炎症(性交後出血として出ることもある)
- 薬剤やホルモン治療の影響
不正出血は原因が幅広いため、自己判断で放置しないことが大切です。
特に、繰り返す出血や出血が長引く場合は、婦人科で評価を受けるのが安全です。
40代後半になると、卵巣機能の低下によるホルモンバランスの乱れによって、生理不順をはじめとした更年期症状に悩まされる人が増えます。
更年期とは、閉経前後5年間を合わせた10年間のこと。
卵胞数の減少にともない、卵胞から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の量が低下するため、脳がホルモン分泌をうながす指令を出します。
すると、卵巣が過剰に刺激されて、排卵のタイミングが早まり、生理周期が短くなるでしょう。
30代後半から卵胞の数が急激に減り、卵巣機能が低下し始めるため、女性ホルモン分泌量の低下による、さまざまな不調に悩まされることも。
この時期は「プレ更年期」と呼ばれます。
プレ更年期・更年期の女性は、仕事や子育て、親の介護などでストレスを抱えることも多く、自律神経が乱れやすいため、生理不順になることがあります。
慢性的なストレスは、生理不順をはじめとした不調を悪化させるだけでなく、早い時期からの更年期症状を引き起こす可能性も。
生理不順とともに、強い月経痛や不正出血、経血量の増加などがある場合、子宮内膜症や子宮筋腫が隠れているおそれがあります。
子宮内膜症とは、子宮内膜に似た組織が、卵巣や腹膜長などの子宮内腔以外の場所で増殖してしまう病気のこと。
子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍です。
どちらの病気も、20代~40代で発症しやすいため、生理痛や出血量が多いなどの生理トラブルがある人は、婦人科で検査・治療を受けましょう。
「今回の生理周期がいつもより短い」と感じていたら、実は生理ではなく着床出血で、妊娠していたケースもみられます。
40代以降の自然妊娠率は低下しますが、排卵があって子宮内膜が正常の場合、性交渉の機会をもてば妊娠する可能性は十分にありますよ。
生理不順になりやすい40代は、妊娠に気づくのが遅れることも少なくないと言われています。
「生理」と「不正出血」を分けるときは、次の4点で整理できます。
1)タイミング
- 生理:周期性がある(前後はあっても、同じような流れで来る)
- 不正出血:周期と無関係、または生理の合間に起きる
2)続き方
- 生理:始まり〜終わりが一定のパターンになりやすい
- 不正出血:少量が長く続く、出たり止まったりする
3)きっかけ
- 性交後に出血する
- 排便後や運動後に出血が目立つ
この場合は頸部や膣の炎症なども含めて評価が必要です。
4)伴う症状
強い腹痛、発熱、悪臭のあるおりもの、急な貧血症状がある場合は、生理の変化として片づけず受診を検討してください。
次に当てはまる場合は、早めに婦人科で相談してください。
- ナプキンが短時間でいっぱいになる出血がある
- 出血が8日を超えて続く
- 出血にレバー状の塊が増えた、または急に量が増えた
- 不正出血が繰り返す、または長く続く
- めまい、動悸、息切れ、強い倦怠感など貧血症状がある
- 強い下腹部痛、発熱がある
- 妊娠の可能性がある
- これまでと違う出血が続いて不安が強い
「受診して問題がなかった」と確認できること自体が、強い安心につながります。
生理周期の乱れ以外にも、40代はさまざまな不調に悩まされます。
なかには、日常生活に支障が出るほど症状が重い「更年期障害」になってしまう人も。
40代女性が感じやすい不調の代表例は、以下のとおりです。
- ホットフラッシュ
- めまい
- 動悸・息切れ
- 寝汗・発汗
- 不正出血
- 尿もれ・尿失禁
- 不眠
- イライラ感・不安感・抑うつ
40代の間は、生理不順や不正出血などの月経異常や、ホットフラッシュやめまいなどの自律神経の症状が出やすい時期です。
更年期症状は、年齢とともに種類が変化していくのも特徴。
更年期障害になりやすい人については、以下の記事でくわしく解説しています。
更年期の症状は人によってかなり幅があります。代表的なのは、
- ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)
- 寝汗、動悸、息切れ
- イライラ、不安、気分の落ち込み
- 眠れない、疲れが取れない
などです。
「気合いで乗り切るもの」と思われがちですが、つらいときは相談して大丈夫です。
更年期の不調は多彩ですが、病気と重なる症状もあります。判断の軸は次の2つです。
1)出血の異常があるか
不正出血、急な出血量増加、出血が長引く場合は婦人科で評価が必要です。
2)急な悪化・強い症状があるか
強い息切れ、胸の痛み、失神しそうなめまい、強い抑うつなどがある場合は、婦人科に限らず早めに医療機関へ相談してください。
「更年期かどうか」を決めるより、「見落としてはいけないものがないか」を確認する発想が安全です。
生理周期が乱れている40代女性には、ホルモンバランスを整えるために、生活習慣を見直すことをおすすめします。
ここからは、月経不順に悩む人におすすめの対策をみていきましょう。
質のよい睡眠をとることで、ホルモンバランスが整いやすくなります。
毎日7時間〜8時間の睡眠をとることを心がけましょう。
運動によって身体を適度に疲労させることも、質のよい睡眠の確保に役立ちますよ。
ホルモンバランスの乱れの原因となるストレスを、適度に発散する時間をとることも大切です。
特に忙しい40代女性は、ストレスが溜まりやすいもの。
何も考えずにぼーっとする時間を作ったり、趣味に打ち込んだりすることを心がけましょう。
大豆製品や緑黄色野菜、魚などを中心とした、バランスのよい食事をとることで、ホルモンバランスが整いやすくなります。
意識して摂取したい栄養素と食材は、以下のとおりです。
- たんぱく質:肉、魚、卵、豆類
- 大豆イソフラボン:納豆、豆腐、豆乳
- 食物繊維:納豆、ヨーグルト、チーズ、キムチ
生理周期の乱れだけでなく、経血量の増加がみられる人は、貧血になりやすいため、鉄分を多く含む赤身の肉や魚を摂取することも大切です。
生理周期が乱れがちな40代女性の幅広い症状に対して、以下の漢方がよく使われます。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
これらはドラッグストアでも購入できますが、体質や症状に合った漢方を服用する必要があるため、医師や薬剤師に相談してからがおすすめです。
生活の工夫だけではつらさが続く場合、医療で整える選択肢があります。代表的には次の方法です。
- 低用量ピル:排卵を抑え、周期を安定させたり、経血量や痛みを軽減したりする目的で用いられます。
- 黄体ホルモン製剤(プロゲスチン):不正出血の評価後に、子宮内膜を安定させる目的で用いられることがあります。
- ホルモン補充療法(HRT):更年期症状(ほてり、寝汗など)が強い場合に検討されます。
いずれも自己判断で始めず、既往歴(血栓症、乳腺・子宮の病気、喫煙状況など)を含めて医師と相談して選ぶことが重要です。
往歴を踏まえて医師と一緒に選ぶこと。血栓症リスクなど、確認すべき事項があるためです。
受診のときに役立つ情報は「いつから」「どんなふうに変わったか」です。
アプリやメモで、次の項目を記録しておくと相談がスムーズになります。
- 生理開始日/終了日(出血日数)
- 出血量の変化(多い日が増えた、塊の有無)
- 痛み(いつ、どれくらい)
- 体調(ほてり、不眠、気分の落ち込み、動悸など)
- 服用中の薬(ピル、ホルモン治療、サプリを含む)
記録は「原因の切り分け」と「治療効果の確認」に直結します。
40代で生理不順が続いている場合、一度婦人科で検査を受けるとよいでしょう。
基礎体温を測定しておくと、病気の発見や治療に役立つことも。
症状に合わせて、適切な治療法が選ばれます。
子宮内膜症や子宮筋腫が見つかった場合、黄体ホルモン製剤の投与がおこなわれますよ。
生理周期が短い状態以外にも、月経血が極端に増えた場合や、不正出血やおりものの増加、腹痛などの症状がみられる場合は、婦人科で相談しましょう。
次のチェックに当てはまる場合は、受診を検討してください。
- 月経周期が24日未満、または38日を超える状態が続く
- 出血が8日を超える
- 生理の合間に出血する(不正出血)
- 性交後に出血する
- 出血量が増え、日常生活に支障がある
- レバー状の塊が増えた、出血量が急に増えた
- 貧血症状(めまい、動悸、息切れ、強い倦怠感)がある
- 強い下腹部痛、発熱、悪臭のあるおりものがある
- 妊娠の可能性がある
「様子を見る」より「確認する」を選ぶほうが安全なケースが含まれます。
受診時は、次の情報をまとめておくと医師が判断しやすくなります。
- 最終月経開始日、直近3回の周期
- 出血日数、出血量の変化、塊の有無
- 痛みの強さ、鎮痛薬の使用状況
- 不正出血の有無(いつ、どれくらい、何回)
- 更年期症状(ほてり、不眠、気分、動悸など)
- 服用中の薬、既往歴、妊娠の可能性
検査の流れは状況により異なりますが、一般には問診のあとに超音波検査で子宮と卵巣を確認し、必要に応じて血液検査(貧血など)や子宮頸部・子宮体部の評価を組み合わせます。
生理周期が40代になると乱れやすいのは、卵巣機能の低下によるホルモンバランスの乱れや、仕事や育児などによるストレスが原因です。
40代は、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気になりやすい世代のため、注意しましょう。
生理周期が短くなる以外にも、ホットフラッシュや動悸などの更年期症状に悩まされる人も。
生理周期を整えるために日常生活を見直すとともに、婦人科の受診も検討しましょう。
40代の月経の変化は、体が閉経に向かって移行しているサインとして説明されます。
この時期は「変化があること」自体が問題ではなく、変化の中に見逃してはいけないサインが混ざっていないかが重要です。
おすすめの付き合い方は次の3つです。
- 周期と出血の特徴を記録し、変化を言語化できるようにする
- 睡眠・食事・ストレスケアを整え、つらさを増やす要因を減らす
- 不正出血、出血量の急増、貧血症状がある場合は受診を先送りしない
「受診が必要かどうか」を一人で抱え込まず、基準に当てはめて判断していきましょう。
- 正常月経周期は24〜38日と定義され、24日未満は短い周期、38日を超えると長い周期として整理されます。
- 閉経は月経が12か月来ない状態を確認してから、1年前を振り返って確定します。
- 40代はホルモン変動で周期が乱れやすい一方、不正出血や出血量の急増などは病気の評価が必要になることがあります。
- 出血が8日を超える、出血が繰り返す、性交後出血、貧血症状、強い腹痛がある場合は受診を検討してください。
- 生活習慣の見直しに加え、必要に応じてピルやホルモン療法など医療の選択肢もあります。
出典:厚生労働省「女性特有の健康課題(更年期)」/日本産科婦人科学会(市民向け)「更年期障害」/国際的基準(FIGOの月経パラメータに基づく整理が掲載された医療情報)

