日本性感染症学会は、近年の梅毒感染者数の増加に注意を呼びかけています。
梅毒は感染から症状発症までに潜伏期間があり、知らないうちに感染しているケースも多々あります。
母体から胎児に感染して発症する先天梅毒の予防のためにも、潜伏期間中の適切な対処は重要です。
この記事では、梅毒の潜伏期間や検査などについてご紹介します。
梅毒の潜伏期間、つまり感染してから症状を発症するまでにかかる期間は約3週間です。
かなり個人差があり、長いと約6週間、短いと約10日で発症したケースがあると報告されています。
梅毒に感染してから症状が現れるまでは約3〜6週間程度とされていますが、多いのは約2〜3週間のようです。
初期症状が軽いため、自分が梅毒に感染していることに気付かない人もいます。
また、HIVに感染している人は梅毒の症状発症までの期間がより短いと言われています。
梅毒には発症後も潜伏期間があります。
これは「潜伏梅毒(無症候性梅毒)」と呼ばれ、発症しても症状がない期間にあたります。
梅毒は時間が経つにつれて状態が変わり、段階ごとに症状が異なります。
注意したいのは、症状が一旦自然に消えて「治った」と思ってしまうこと。
そのまま放置すると梅毒が進行し、再び症状が現れてしまうのです。
そのため、なるべく早期に感染に気づき、適切な対処をする必要があります。
最初は感染した部位を中心にしこりや潰瘍のようなものができますが、一旦消失します。
その後は発疹が全身に現れ、こちらもしばらくすると症状はなくなります。
放置して症状がなくなったとしても「治った」と思ってはいけません。
感染してから約3週間後までに現れる症状です。
感染した部位に小豆大のしこりのような初期硬結が生じ、周囲のリンパ節が腫れて固くなります。
また、硬性下疳と呼ばれる潰瘍が性器周辺や口の中に現れます。
感染してから約3ヵ月〜3年後に現れる症状です。
感染後1年以内の感染力が高い時期を早期潜伏梅毒、1年以降を後期潜伏梅毒と呼びます。
1期から2期へ移行すると皮膚や口の中など、体の色々な場所に発疹が現れます。
これらの発疹は
- 丘疹性梅毒疹
- 梅毒性乾癬
- 梅毒性バラ疹
- 扁平コンジローマ
- 膿疱性梅毒
- 梅毒性白斑
- 梅毒性粘膜疹
と分類されます。
その他、脱毛や喉の奥の炎症、爪の周りが赤く腫れる、といった症状も現れます。
潜伏期間中でも梅毒の検査は可能です。
しかし、検査のタイミングが早すぎると偽陰性になることがあります。
梅毒の検査は、脂質抗原に対する抗体と梅毒トレポネーマに対する梅毒抗体の血液検査です。
これらの抗体は、感染から一定の期間が経過しないと十分に産生されません。
心当たりがある感染機会から約3〜4週間に検査を受けるようにしましょう。
梅毒は熱や乾燥に弱く、粘膜や体液を離れると生存が難しい菌です。
日常生活を送る上で家庭内感染する可能性は非常に低いと言えます。
しかし、お風呂の椅子やトイレの便座など性器が直接接触する可能性がある場所に菌がついていた場合、感染リスクは0ではありません。
また、タオルや食器の共用でも感染する可能性はありますが、いずれにしても極めてまれです。
潜伏期間中であっても、検査で感染しているとわかったら治療を開始できます。
主にペニシリン系の抗生物質を使い、内服薬を中心に、注射や点滴を使用することもあります。
治療期間は進行によって異なり、第1期で2〜4週間、第2期で4〜8週間が目安です。
詳しい治療法は下記の記事で紹介しています。
性感染症の1種である梅毒の潜伏期間は、個人差はありますが約3〜6週間です。
特に初期は症状が目立たず気づかない場合があり、一旦症状が出ても自然に消えますが治ったわけではありません。
もし心当たりがある場合、感染経路となる性交渉から4週間程度経ってから医療機関で検査を受けるようにしましょう。
感染症科か、婦人科、泌尿器科でも対応してもらえます。
治療には抗生物質を使用し、進行によって治療期間は異なります。
感染者の同居家族が家庭内感染するリスクは非常に低いですが、念のためタオルや食器の共用は避けると良いでしょう。
- 梅毒の潜伏期間は、約3〜6週間です
- 症状が一旦消えても、自然に良くなることはありません
- 潜伏期間でも検査できるため、心当たりから4週間程度で検査を受けましょう
- 家族にうつる可能性は極めて低いです
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