「更年期に入ってから便秘したり、コロコロした便しか出なかったりする」「便秘でお腹が張ってつらい」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
排便時にすっきりしないと、1日気になってしまい、憂鬱な気分になりますよね。
今回は、更年期と便秘の関係や原因を解説します。
「市販薬や漢方で対応可能?」という疑問も扱うので、ぜひ参考にしてください。
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更年期にはさまざまな原因が重なり、便秘になりやすいです。
慢性便秘症診療ガイドラインによると、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を、十分量かつ快適に排出できない状態」を指します。
- 3日以上排便がない
- コロコロした便しか出ない
- 排便はあるものの、残便感がある
こうした症状に悩まされている女性は多いのではないでしょうか。
ここからは、更年期に便秘になる原因を解説します。
更年期の便秘は、消化器系の機能をコントロールしている自律神経の乱れが原因の1つです。
更年期は、女性ホルモン分泌量が急激に減少し、ホルモンバランスが乱れやすい時期。
すると、ホルモン分泌と同じく、脳の視床下部が司る自律神経のバランスも崩れてしまい、腸がうまく働かずに便秘を引き起こします。
ストレスも、自律神経を乱す要因に。
更年期世代は、子育てや仕事、介護などでストレスを溜めやすいため、便秘になりやすいです。
加齢による卵巣機能の低下によって、女性ホルモンの1つである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が減少すると、腸内の潤いが減ってしまいます。
エストロゲンには、粘膜のハリや潤いを保つ作用があるが、閉経前後に急激に減少するため、便秘を引き起こすのです。
加齢にともない、腹筋や肛門括約筋の働きが低下すると、便を押し出す力が弱くなるため、便秘しやすくなります。
運動量が減少しやすい年代でもあるため、筋肉量が低下しやすいでしょう。
更年期は、便秘と下痢を繰り返す人もいます。
更年期は、女性ホルモンの1つである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が減少するため、下痢を訴える人も。
なぜならプロゲステロンには、腸のぜん動運動を抑える作用があり、分泌量が減ると腸が過剰に動いてしまうからです。
ただし、便秘や下痢を頻繁に繰り返す場合、更年期によるものではなく、過敏性腸症候群や大腸がんが隠れている可能性もあります。
症状が続く場合は、できるだけ早く婦人科や内科を受診しましょう。
更年期の便秘を治すには、生活習慣を整えることが効果的です。
規則正しい生活習慣に加えて、市販薬を取り入れるのはよいのか気になりますよね。
ここからは、更年期の便秘の治し方について解説します。
適度な運動によって、更年期の便秘が改善しやすくなります。
運動不足によって、腸のぜん動運動が低下する傾向にあるのです。
運動には自律神経のバランスを整える効果も期待できるので、スキマ時間にウォーキングなどをおこなうとよいでしょう。
更年期の便秘を改善・予防するには、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えることが大切です。
ヨーグルトやチーズなどの発酵食品を積極的にとりましょう。
便を柔らかくしたり、善玉菌のエサになって腸内環境を整えたりする食物繊維や、腸内細菌の栄養源になり善玉菌を増やすオリゴ糖を取り入れるのもおすすめです。
食物繊維やオリゴ糖を含む代表的な食材は、次のとおりです。
- 食物繊維:キノコ、海藻、大豆
- オリゴ糖:玉ねぎ、ごぼう、大豆、バナナ
食事量が少ないと便秘になりやすいため、一定の食事量を維持してください。
食事と合わせて、水分もこまめに摂取しましょう。
更年期の便秘が続き、お腹が張る場合は、便秘解消に効果があるツボを押してみるとよいでしょう。
- 天枢(てんすう):へそから指3本分外側の左右
- 関元(かんげん):へその指4本分下
- 中脘(ちゅうかん):みぞおちとへその真ん中
- 大巨(だいこ):天枢の指3本分下
大巨の右側から始まり、天枢の右側、中脘、天枢の左側、大巨の左側、関元の順番で押すとすぐに効果を実感できる人もいるでしょう。
便秘を予防するには、便意を感じたタイミングですぐにトイレに行く習慣をつけることが大切です。
排便を我慢することを繰り返していると、便秘になりやすいですよ。
毎朝決まった時間に排便を習慣化しましょう。
更年期の便秘がなかなか改善しないようなら、市販の便秘薬を服用するのもよいでしょう。
便秘薬は、腸のぜん動運動をうながす「刺激性下剤」と、便を柔らかくする「非刺激性下剤」に分かれます。
副作用が少なく、自然な排便をサポートする非刺激性下剤がおすすめです。
- 酸化マグネシウム:腸内の水分量を増やして、便を柔らかくする
- プランタゴ・オバタ:大腸で水分を含んで膨らみ、便の量を増やす
これらの成分を含む便秘薬を選ぶとよいでしょう。
更年期の便秘を改善するには、漢方が効果的なことも。
ここからは、更年期の便秘におすすめの漢方を紹介します。
漢方薬は市販で購入できるものも多いですが、体質や症状に合ったものでないと十分に効果を得られないことがあるため、医師や薬剤師に相談してから服用するのがおすすめです。
麻子仁丸は、便が乾燥し硬くなって、排便しにくい時やコロコロした便が出る時におすすめの漢方薬です。
腸を刺激するだけでなく、腸を潤す効果が期待できますよ。
ツムラやクラシエで購入できます。
桂枝加芍薬湯は、お腹が張って痛むのに、排便が困難な症状に使われる漢方薬です。
残便感があり、くり返し腹痛をともなう便意がある場合にも効果が期待できます。
クラシエの商品が市販で購入できますよ。
更年期には、女性ホルモンの低下やストレスで自律神経が乱れやすく、便秘になりやすいです。
筋肉量が低下することで、排便する力が弱まり、さらに便秘を助長することも。
ホルモンバランスの変化で便秘と下痢をくり返す人もいますが、症状が続くようなら、ほかの病気の可能性もあるため、医療機関を受診してください。
更年期の便秘が治るには、生活習慣の見直しが効果的です。
市販薬や漢方薬の服用を検討するのもよいでしょう。
この記事を参考に、自分に合った便秘解消法を見つけてくださいね。
- 更年期は、3日以上排便がない、コロコロした便しか出ないといった症状に悩まされやすい
- 腸のぜん動運動を司る自律神経が乱れやすいことが、更年期の便秘の原因
- 便秘や下痢をくり返す場合は、ほかの病気も考慮に入れよう
- 腸の働きをうながす運動や、善玉菌を増やして腸内環境を整える食事など、生活習慣を見直そう
- セルフケアに加えて、市販の非刺激性下剤や漢方薬を取り入れるのも効果的