梅毒は、梅毒トレポネーマが原因菌の性感染症で、2014年ごろから感染者数が急増し、2023年は1万4千人を超えました。
梅毒が末期まで進行すると、どのような症状が出るのか不安に感じる人がいるでしょう。
今回は、梅毒末期に現れる症状・重症化したときの経過・治療方法について解説します。
参考:(日本の梅毒症例の動向について (2023年第4四半期 : 2024年1月5日現在)国立感染症研究所)
末期梅毒は、適切な治療を受けないまま感染から10年以上経過したころで、晩期顕性梅毒と呼ばれています。
ほかの人に対する感染力は無くなっていますが、全身の臓器が障害されるため重症化します。
末期梅毒でみられる症状と、どのような経過をたどるのか確認しましょう。
梅毒の末期では、心血管梅毒と神経梅毒の症状が目立つようになります。
心血管梅毒は、心臓につながる血管や大動脈に梅毒が感染している状態です。
具体的には、大動脈の壁にこぶができたり(大動脈瘤)、心臓に血液を送る血管が狭くなったりする症状がみられます。
神経梅毒は、脳や脊髄などの神経が梅毒に感染した状態です。
脳が侵されると、認知機能や集中力の低下、イライラや妄想など精神症状が現れます。
脊髄に感染すると、体の痛み・歩行障害・排尿障害などがみられます。
梅毒が末期になり、心臓や血管の症状が悪化すると、大動脈瘤の破裂や心臓発作で亡くなることがあります。
また脳や脊髄の症状が進行すると、最終的には全身麻痺に至るのです。
梅毒の末期では、原因菌の梅毒トレポネーマに対する治療を行っても、損傷した心臓の血管・脳・脊髄は元の状態には戻りません。
末期の梅毒感染者は、重い障害が残る可能性が高いため注意が必要です。
江戸時代は、医師の杉田玄白が「患者1000人中700~800人が梅毒に感染していた」と書き残すほど梅毒が流行していました。
重症化すると、梅毒によって鼻の骨や組織が壊されることにより、当時の人々から「鼻が落ちる」と恐れられていたのです。
さらに江戸時代では、梅毒を殺菌する薬は発見されていなかったため、感染すると死に至る病気でした。
梅毒の治療法は時期にかかわらず、抗生物質のペニシリンを使用します。
ペニシリンの内服薬は、1日3回4週間の服用を1サイクルとして、梅毒末期では8〜12週間(2~3サイクル)の治療期間が必要です。
ペニシリンの筋肉注射は、2021年9月に国内承認されました。
内服薬と異なり、飲み忘れのリスクがないことがメリットです。
梅毒末期のペニシリン筋肉注射による治療は、週1回の注射を計3回行います。
神経梅毒の場合は、入院して点滴治療が行われることが多いです。
ペニシリン系抗生物質にアレルギーがある場合は、テトラサイクリン系抗生物質で治療を行います。
現在は、検査方法や治療薬が開発されたため、末期まで進行することはめったにありません。
しかし梅毒は、治療を行わない限り、自然治癒しない性感染症です。
皮膚や粘膜などの症状が一度消えて、症状の現れない無症候性梅毒となり、潜伏期間が10年以上経過したときは注意する必要があります。
大動脈瘤を発症したり意識障害を起こしたりするなど、急に末期症状が現れることがあるのです。
また梅毒感染がわかって治療を受けたとしても、途中で薬を止めるなど効果が不十分のまま放置してしまうと、晩期顕性梅毒になることがあります。
現在は、梅毒末期になることはかなり少ないものの、油断は禁物であるため、重症化する前に予防できることをみていきましょう。
梅毒は、早期に発見して治療を行うことが重要です。
梅毒に感染しているかどうかは、血液検査で調べられます。
梅毒の検査は、泌尿器科・婦人科・感染症科などの医療機関、または保健所で行っています。
保健所では、性感染症検査が匿名・無料で受けられるところもあるため、医療機関へ行くのに抵抗がある人は確認してみましょう。
梅毒は、第1期~第2期までの早いうちに適切な治療を行えば、完治できる感染症です。
梅毒末期まで悪化すると、抗生物質を使っても細菌をコントロールできるまでに時間がかかります。
症状によっては、入院して点滴治療が必要になることもあるのです。
末期まで悪化すると、梅毒トレポネーマに対する治療を行っても、心血管・脳・脊髄など病変したところは元に戻りません。
梅毒は、早期に治療を始めることが大切です。
また治療を始めたら、医師から許可が出るまで薬を服用し続けるようにしましょう。
梅毒末期は、感染から治療を受けないまま10年以上経過したころです。
重症化した梅毒末期では、心血管梅毒と神経梅毒の症状がみられます。
末期の感染者は、最終的に大動脈瘤の破裂や全身麻痺により亡くなることもあるのです。
梅毒末期の治療には、抗生物質のペニシリンを使用します。
現在は医療が発達したため、梅毒が末期まで進行することはめったにありません。
しかし、早期のうちに治療せず放置して、潜伏梅毒のまま過ごしていると、ある日急に末期の症状が現れることがあります。
梅毒末期まで進行させないために、心当たりがあれば検査を受けて、早期に治療開始することが大切です。
- 梅毒末期は、治療しないまま感染から10年以上経過したころ
- 梅毒末期では、心血管梅毒と神経梅毒の症状がみられる
- 重症化した末期の梅毒患者は、最終的に死亡することがある
- 梅毒末期の治療は、抗生物質のペニシリンを使用する
- 梅毒末期まで進行しないように、早期検査・早期治療が大切
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