松葉 悠子 医師
プロフィール
勝どきウィメンズクリニック院長。金沢大学医学部医学科卒。日本産婦人科専門医。周産期センターでの勤務を中心に産婦人科診療に従事。2度の出産と介護も経験。分娩施設や近隣の病院と連携し、妊婦健診や婦人科のプライマリーケアを行う。
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右下腹部に痛みが起こり、チクチクしたりズキズキしていると「病気?」と考えてしまうこともあるでしょう。
不安に感じる症状がある場合は、早めに痛みの原因を見つけて治療する必要があります。
この記事では、女性の右下腹部の痛みとして考えられる理由をご紹介します。
腹部に痛みを感じる時、一過性のもので特に問題ない場合もあります。
しかし、臓器のどこかに異常が起こっている可能性も否定できません。
「お腹が痛い」と言って連想しやすいのは胃腸の病気ですが、女性の場合は子宮や卵巣といった婦人科系の臓器で起こる病気も考えられます。
右下腹部痛の原因は色々な理由が考えられますが、中には早めの治療が必要な場合もあります。
痛みをそのままにせず、原因をはっきりさせて対処しましょう。
右下腹部痛で考えられる病気は、主に小腸、大腸などの消化器系疾患、腎臓や尿管などの泌尿器系疾患、女性の場合は子宮、卵巣などの婦人科系疾患です。
特に右下腹部に痛みが起きやすい病気について、それぞれの領域ごとで具体的にみていきましょう。
もし思い当たる症状があれば、病院の受診を検討してみてください。
子宮や卵巣に異常があると、腹痛が起こることがあります。
婦人科疾患で頻度が高いのは子宮筋腫です。
女性の25%にあると言われている良性の病気で、通常では特に治療は必要ありません。
発生した場所によっては右下腹部が痛んだり生理痛が増したりする可能性があります。
子宮以外に子宮内膜組織が発生する子宮内膜症でも、右下腹部の強い痛み、月経過多、腰痛、不妊などの症状が現れます。
また、卵巣の病気でも右下腹部が痛むことがあります。
おもに考えられるのは、卵巣出血や卵巣のう腫破裂、卵巣のう腫茎捻転です。
他に、クラミジアなどの菌による骨盤腹膜炎も下腹部痛の原因となります。
子宮がん、卵巣がん、異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性も否定できないため注意が必要です。
放置すると命に関わるため、早めの受診をおすすめします。
右下腹部が痛い場合、腹膜で感染や炎症が起きていることがあります。
炎症性腸疾患による痛みの可能性が強く、1番に挙げられるのは虫垂炎です。
虫垂は一般的に「盲腸」と呼ばれ、右下腹部(大腸のはじめの部分)に存在する臓器です。
段々と右下腹部が痛み始めて吐き気などの症状を伴い、注射や手術で処置を行います。
処置が遅れると腹膜炎が起きて重篤な症状となることもあるため、すぐに医療機関を受診しましょう。
他に、大腸の一部が広がって袋状となった「憩室」に炎症が起こる大腸憩室炎、感染性腸炎、大腸がんなどの腸管に関わる病気で痛くなることがあります。
いずれも血液検査、腹部CT、エコーなどで早めに原因を特定し、適切な治療を受ける必要があります。
右側の尿路系に発生した結石を尿路結石といい、突然激しい痛みが起こります。
腎臓や尿管は左右に存在しますが、右側に発生すると右下腹部痛から腰周辺に痛みが生じるのが特徴です。
背中側が痛むことが多いですが、お腹側も痛くなる可能性があります。
尿路感染症や腫瘍の発生でも、場所によって腹部右下が痛くなることがあります。
尿路系疾患では、痛み以外に残尿感や頻尿、血尿など尿の症状が現れることが多いです。
受診の際に参考にしてください。
女性で右下腹部がつるような痛みが起こる原因として便秘、子宮内膜症、虫垂炎が考えられます。
便秘のようなものと考えても、痛みが続くようであれば病院の受診を検討しましょう。
便秘は、多くの女性が悩みを抱えている病気です。
便が固くなると、腸の蠕動運動が強くなって痛みが生じます。
また、便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群でも同じような症状が起こります。
子宮内膜症は卵巣、腹膜、腹腔など、色々な場所に発生する可能性があります。
特に、卵巣で発生するものは「チョコレート嚢胞」と呼ばれ、稀にがん化する可能性があるため経過観察が必要です。
虫垂が存在する場所はちょうど右下側であり、典型的な症状では最初はみぞおち〜おへそ周辺の痛みが右下腹部に移動し、歩くと響くように痛むといったものがあります。
特に病気ではなくても、心身のストレスで右下腹部痛が起こる可能性もあります。
自律神経の乱れや、精神的ストレスで悪化した過敏性腸症候群による下腹部痛などが原因です。
また、女性に特有の「骨盤内うっ血症候群」では、痛みがあるのに炎症や病気が特定できず、鎮痛剤が効きません。
下腹部痛を訴える女性の半数に当てはまると言われていますが、検査結果に反映されないため中々特定できない可能性があります。
右下腹部痛以外の症状を参考にして医療機関を決めるといいでしょう。
- 生理前後に症状がある、不正出血やおりものの異常など婦人科系に異常があれば婦人科
- 便秘や下痢、嘔吐などは消化器内科または内科
- 血尿など尿の異常は泌尿器科
上記を目安に受診してください。
突然激しく痛みだした場合、虫垂炎や卵巣のう腫の茎捻転などの可能性があるため、救急受診も視野に入れましょう。
右下腹部の痛みは、婦人科疾患、消化器疾患、泌尿器科疾患など、さまざまな理由で起こります。
虫垂炎など緊急な対処を要する疾患もあるため、病院の受診を検討することをおすすめします。
内科で特に問題がないと言われた場合でも、婦人科の受診も考慮してみてください。
ストレスなど、精神的な理由でも痛くなることもあります。
「病気ではない」とわかるだけでも安心できて、改善するためのアドバイスを受けられます。
- 病院に行くほどでもない痛みが続く場合も、一度医療機関で相談してみると良いでしょう
- 右下腹部の痛みは、婦人科、消化器、泌尿器などに関わる病気の可能性があります
- 虫垂炎など、早めに治療しないと悪化する病気の可能性もあるため病院受診を検討しましょう
- 痛み以外の症状を目安に何科を受診するか決めましょう
- 精神的な理由で痛んでも、原因をはっきりさせて対処するとよいでしょう
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