須山 文緒 (すやま ふみお) 医師
プロフィール
京都大学医学部卒業、倉敷中央病院、国立成育医療研究センター、新百合ヶ丘総合病院の勤務を経て、2022年から杉山産婦人科新宿に勤務。
https://www.sugiyama.or.jp/doctor/shinjuku
梅毒は感染者数が近年急増していて、誰でも感染する可能性があります。
梅毒にはさまざまな症状がありますが、鼻が落ちることがあると聞いて「怖い」と感じる人もいるでしょう。
今回は、梅毒で鼻が落ちると言われる理由やよくみられる症状、感染予防について詳しく解説します。
梅毒で鼻が落ちることは「鞍鼻(あんび)」と呼ばれ、原因菌が鼻の骨や皮膚に達することで起こります。
梅毒に感染してから数年以上経過すると、ゴム腫というゴムのようなやわらかい腫瘤が全身の臓器・皮膚・骨に発生します。
ゴム腫には、発生した周りの組織や細胞を壊す性質があるのです。
ゴム腫が鼻の骨にできると鼻の骨や皮膚の細胞を壊してしまうため、鼻が変形する症状がみられます。
医療が発達していない時代には「鼻が落ちる」と言われていたことも。
現在は、早期梅毒のうちに治癒できるようになり、鼻が落ちる段階まで悪化することはほとんどありません。
梅毒で鼻以外に現れる症状について、特徴と発症しやすい時期をわかりやすく解説します。
初期硬結は、感染してから3週間ほど経った頃に現れます。
感染部位に、小豆~小指の頭ほどの大きさのしこりができて、潰れてただれることもあります。
初期硬結が現れる場所は、性器や肛門の周り、口唇、口の中です。
初期硬結には痛みがほとんどないため、発症しても気づかないことが多くみられます。
特に治療しなくても、初期硬結は数週間過ぎると自然に消失して、その後は潜伏梅毒になります。
バラ疹は、感染時から未治療のまま数ヶ月以上過ぎた頃から現れます。
原因菌の梅毒トレポネーマが全身に広がり、体のあちこちに淡紅色の発疹がみられ、薔薇の花びらのように見えることからバラ疹と呼ばれているのです。
バラ疹は、米粒から大豆ほどの大きさで、痛みやかゆみはありません。
バラ疹も初期硬結と同じく、治療をしなくても時間が経つと自然に消えます。
扁平コンジローマは、淡いピンク色や灰色の平べったいイボで、主に性器や肛門周りに発生します。
発症するのは、感染して数ヶ月以上経った頃です。
扁平コンジローマのなかには大量の原因菌が含まれており、破れることでほかの人への感染源になることが分かっています。
梅毒性乾癬は梅毒の典型的な症状で、感染後3ヶ月以上経ってから発症します。
赤茶色に盛り上がった1cmほどの大きさの発疹が、手のひらや足の裏など皮膚の厚い部分に現れます。
発疹の表面がフケのようにカサカサしたり皮がむけたりする場合がありますが、痛みやかゆみの自覚症状はありません。
ゴム腫は、感染から未治療のまま数年以上経過すると発症します。
弾力性のある腫瘤が、全身の皮膚のみならず、筋肉・骨・内臓にも発生します。
ときには、腫瘤の表面が破れてただれたようになることもあるのです。
ゴム腫は発生した周りの組織や細胞を壊してしまうため、特に骨に発生したときは強い痛みが現れます。
適切な治療を行えば梅毒は完全に治癒するので、ゴム腫を発症するまで梅毒が悪化することはほとんどなくなっています。
感染が脳や脊髄に及んだ状態を神経梅毒と言い、感染からの時期にかかわらず発症します。
早期に発症した際は、軽い髄膜炎や目のかすみ、視力障害がみられます。
感染後10年以上経ったケースでは、認知症のような症状や歩けなくなるなどの全身麻痺がみられることもあります。
先天梅毒は、お母さんが妊娠前から梅毒に感染している、または妊娠中に梅毒に感染することによって赤ちゃんにも感染が起こることを言います。
出産直後の赤ちゃんは、多くが無症状で一生何も症状が出ないこともあります。
赤ちゃんが発症する場合は以下のような症状が現れます。
生後3ヵ月以内に発症する早期先天梅毒では、皮膚の水疱、全身のリンパ節や肝臓の腫れがみられます。
生後2年以上経てから発症する晩期先天梅毒では、歯や骨の変形、視力障害、難聴などが現れます。
梅毒を予防するために、今日から対策できることを3つ紹介します。
梅毒は感染者の体液が、皮膚や粘膜に直接触れることで感染します。
梅毒だけではなく性感染症予防のために、性交渉のときはコンドームを正しく使用してください。
梅毒は感染力が強く、コンドームで覆われていない部分から感染するケースがあります。
コンドームを使用していても、100%予防できるわけではないことを理解しておきましょう。
梅毒は感染力が強く、オーラルセックス・アナルセックス・キスでも感染します。
梅毒感染者との性的接触は避けてください。
不特定の人との性交渉は、感染リスクが高くなることが報告されているため注意しましょう。
梅毒は症状が現れたり消えたりをくり返す特徴があります。
症状が一時的に消えても、体内に原因菌が残っているため、性的接触があると相手に感染させる可能性が高いです。
思い当たる節がある場合は、梅毒の血液検査を受けましょう。
検査は、婦人科・泌尿器科・感染症科などの医療機関や保健所で受けられます。
梅毒で鼻が落ちる症状は「鞍鼻(あんび)」と呼ばれ、感染から数年以上経ってから発症します。
鼻の骨にゴム腫が発症することで、鼻の周りの細胞や組織が壊されて鼻が欠けたようになるのです。
現在は、梅毒の検査方法や治療薬が開発されたため、鼻が落ちる症状まで重症化することはほとんどありません。
梅毒の鼻以外の症状には、バラ疹や梅毒性乾癬など梅毒に典型的な症状や、神経梅毒のような時期にかかわらず発症する症状があります。
梅毒の予防方法は、コンドームを用いる・感染者との性交渉を控える・梅毒検査を受けるの3点です。
梅毒感染に不安があるときは、早めに検査・治療を受けるようにしましょう。
- 梅毒で鼻が落ちる症状は、感染から数年後に発症する
- 鼻の骨にできたゴム腫が、鼻周りの細胞や組織を壊すことで鼻が落ちる症状が現れる
- 現在は梅毒の早期治療が進み、鼻が落ちる症状まで悪化することはめったにない
- 梅毒の予防方法は、コンドームを用いる・感染者と性交渉をしない・梅毒検査を受けるの3つ
- 梅毒の感染に思い当たる節があれば、早めに検査・治療を受けることが大切
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