永井 良 医師
プロフィール
性感染症内科ペアライフクリニック総院長。日本内科学会 内科認定医/日本内科学会 総合内科専門医/日本腎臓学会 腎臓専門医/日本性感染症学会 会員/日本感染症学会 会員
手軽に来院できる仕組みづくりを行い、性感染症で悩む方を減らすため日々診療している。
https://pairlife-clinic.com/
梅毒は感染者との性交渉でうつるといわれていますが、周りに感染者がおらず感染経路に心当たりがないと「なぜ感染したんだろう」と不安になりますよね。
性交渉以外の日常生活にも、感染経路はあるのでしょうか。
今回は、梅毒の感染経路に心当たりがないときに確認したいことや、梅毒の診断方法について解説します。
梅毒の感染予防法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
梅毒は梅毒トレポネーマが原因の性感染症です。
梅毒感染者数を把握するために、医師は梅毒患者の数を届け出ることが、感染症法によって義務付けられています。
梅毒の主な感染経路は、粘膜や皮膚と感染部位の接触です。
コンドームなしでの挿入をともなう性交渉だけでなく、オーラルセックスやキスでも感染します。
つまり、性交渉の機会がなくとも、誰にでも感染リスクはあるのです。
また、感染初期は症状がないため、感染していることに気づかず性交渉をもち、相手にうつすケースも増えています。
梅毒は、感染後1年未満の早期梅毒の人と1度性交渉するだけで、約1/3の確率で感染してしまうほど感染性の高い性病です。
「たった1回の性交渉だから」と安易に考えず、感染の疑いがある場合はすみやかに受診してくださいね。
梅毒は、感染部位や体液に直接触れることで感染します。
日常生活で粘膜や体液の接触が生じることはほぼありませんが、ごくまれに性交渉以外の感染経路でうつることも。
ここからは、日常生活での感染リスクや経路について解説します。
不特定多数が利用する温泉やお風呂では、ごくまれに梅毒に感染します。
たとえば、肛門に原因菌がいる患者が座ったお風呂のイスに、自身の性器や皮膚が接触するケースです。
しかし、シャワーでイスを洗い流してから使用しお湯につかれば、感染率を限りなく下げられますよ。
また、トイレの便座に原因菌が付着していた場合も、梅毒に感染することがまれにあります。
感染を防ぐには、便座クリーナーや便座シートを積極的に活用しましょう。
梅毒感染者とタオルや食器を共有しても、感染するケースはほぼありません。
原因菌は熱や乾燥に弱く、一度粘膜や体液から離れると生存できなくなるからです。
梅毒感染ルートのほとんどが性交渉ですから、日常生活下の感染ルートについては過度に気にする必要はありません。
梅毒は、早期発見できれば抗菌薬で完治する病気です。
梅毒の症状を知り、受診の目安にしてください。
梅毒は病期によって症状が異なります。
- 感染後数週間は症状がない
- 性器や肛門、口などの感染部位やリンパ節に、痛みがほとんどないしこりが現れる
- しこりが消えた1~3ヶ月後に、全身の皮膚に赤い発疹(バラ疹)やリンパ節の腫れ、発熱、だるさなどがみられる
- 発疹消失後は無症状の期間に入るが、原因菌は体に残っている(潜伏梅毒)
- 感染から数年~数十年後に臓器の腫瘍(ゴム腫)や心血管梅毒、神経梅毒などが出現する(晩期顕性梅毒)
2、3の時期を早期顕症梅毒と呼びます。
しこりや発疹は自然に消失することもあるため、気づかないことも。
梅毒を早期発見するために「いつもと違う症状がある」と思った時点で受診しましょう。
梅毒の診断手順は次の通りです。
- 性交渉のタイミングや相手、場所、行為の内容などを聞き取る
- 粘膜や皮膚にしこり・発疹があるかを診察し、梅毒の病期を確認する
- 血液検査(梅毒検査)をおこなう
血液検査には、梅毒感染の有無を確認するTP抗体検査と、梅毒の活動性を確認するRPR抗体検査があります。
日本性感染症学会が公開した梅毒診療ガイドでは、2つの梅毒検査をあわせておこなうことを推奨していますよ。
梅毒は感染力が高く、適切な予防法を取らなければ、何度でも感染する可能性があります。
次に紹介する方法を取り入れて、感染予防を心がけてくださいね。
- 不特定多数と性的関係をもたない
- 付き合い始めた人と性交渉する前に一緒に性感染症検査を受ける
- 性交渉のときは必ずコンドームをつける
コンドームは感染を100%予防できるものではありません。
パートナーや自分が梅毒治療を受けている間は、感染拡大を防ぐためにも性交渉を控えてくださいね。
また、梅毒に感染している女性が妊娠すると、母子感染した子どもが先天梅毒にかかるリスクがあります。
妊娠を希望するなら、パートナーと一緒に梅毒検査を受けましょう。
「性病は恥ずかしいもの」と考えると、受診や検査をためらうかもしれません。
しかし、梅毒をはじめとした性感染症は、誰でもかかるリスクがある病気で、恥ずかしいことではありません。
自分やパートナーの体を守るためにも、定期的に性病検査を受けてくださいね。
梅毒は、主に粘膜や皮膚と感染部位の接触で感染します。
性交渉だけでなくキスでも感染するため、誰でもかかる可能性があるのです。
無症状で感染に気づいていない人と性交渉をもつと、感染経路がわからないことも。
日常生活での感染はまれなので、過度に心配せずに過ごしてくださいね。
梅毒は高い感染力を持ちますが、早期発見できれば治療薬で完治する病気です。
ただし適切な感染予防をしないと、再度感染するリスクがあります。
不特定多数と性交渉した、いつもと違う症状があるなど、梅毒の感染が疑われる場合は医療機関で検査をおこないましょう。
- 梅毒は主に性交渉で感染し、日常生活で感染することはまれ
- 無症状の感染者との性交渉やキスでも感染するため、感染経路に心当たりがないケースがある
- 治療法が確立しているため、早期発見できれば完治する
- 梅毒は感染力が高く、何度でもかかるリスクがあるため、完治後も適切な感染予防を心がけよう
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