陰部にニキビのようなしこりができると「梅毒かもしれない」と不安になりますよね。
梅毒は進行すると命に関わることがありますが、早い段階で発見できれば完治可能な病気です。
感染初期に現れる症状がわかれば、受診の目安になり早期発見につながりますよ。
今回は、梅毒の感染初期に現れる症状や、感染者がたどる症状の経過、症状の男女差などについて解説します。
梅毒は梅毒トレポネーマが原因菌の性感染症で、感染性が高く、近年患者数が増加しています。
梅毒の主な感染経路は、感染者との性交渉です。
挿入をともなう性交渉だけでなく、オーラルセックスやキスで感染することも。
梅毒の初期症状は、治療しなくとも自然に消失してしまいます。
早期に発見し治療すれば完治する病気なので、症状が現れたら「気のせいかも」と放置せず受診しましょう。
ここからは、梅毒に感染した男性に現れる初期症状を解説します。
まず、梅毒の感染部位に3mm~3cmほどのしこりができます。
初期硬結と呼ばれ、軟骨程度の硬さで中心部がとても硬いのが特徴です。
男性の場合は、陰茎の亀頭部や陰茎と亀頭の間にあるくびれた部分、性器周辺の皮膚にできることが多いですが、ごくまれに口内や肛門、手足にできることも。
痛みがほとんどなく、ニキビや口内炎と勘違いして見過ごされがちです。
しこりはだんだん周囲に広がると、硬性下疳(こうせいげかん)と呼ばれる、痛みのないびらんや潰瘍に変化します。
治療しなくても2~3週間程度で消えてしまうため、治ったと勘違いされることも。
しかし、症状がなくなっただけで体内では感染が進行しています。
皮膚や粘膜に症状が出てきて少し経つと、感染部位の近くにあるリンパ節が腫れます。
梅毒は陰部から感染することが多いため、陰部に近い鼠径リンパ節が腫れやすいです。
人によっては下腹部痛を自覚することもありますが、多くの人はほとんど痛みをともなわず、数週間で症状が消失します。
梅毒は感染してからの期間が大きく4つに分かれ、それぞれの病期で現れる症状が異なります。
感染から3週間、3ヶ月、3年後を目安に、症状の出現・消失をくり返すのも特徴です。
ここからは、各病期に現れる具体的な症状をみていきましょう。
早期梅毒第1期とも呼ばれるこの時期は、3週間~3ヶ月程度の潜伏期間を経て、感染部位にしこりや潰瘍、リンパ節の腫れなどの局所的な症状がみられます。
痛みがほぼなく、感染を自覚せずに経過しやすい時期です。
第1期の症状が現れてから4~10週間経過すると、原因菌が血液に乗って全身に転移し、全身に症状が現れる早期梅毒第2期に入ります。
手のひらや手の甲、太もも、背中などを中心に現れる無痛性の赤い発疹(バラ疹)が、第2期の特徴的な症状です。
頭や眉毛などの毛が抜ける梅毒性脱毛症、発熱、喉の痛み、だるさなどがみられることも。
第2期の症状も時間の経過とともに消失し、数年間の潜伏梅毒に入ります。
梅毒感染から3~10年後の第3期に入ると、粘膜や皮膚だけでなく骨や筋肉、肝臓などの臓器に結節性梅毒疹と呼ばれる硬いしこりや、ゴム腫が現れます。
ゴム腫は、表面が破れて潰瘍になることも。
ゴム腫を放置すると、周囲の組織を破壊していきます。
現在は治療法が確立されたため、第3期以降まで進行することはまれです。
感染後から無治療のまま10年以上経過すると、記憶障害や歩行障害などの神経梅毒、大動脈瘤形成や心不全などを引き起こす心血管梅毒が起こります。
この時期になると梅毒の完治は望めず、最終的に命を落とすことも。
性感染症の中には、症状の程度に男女差があるものもみられます。
一方、梅毒は潜伏期間や症状に男女差はありません。
男女で性器の構造が異なるため、第1期では症状が現れる場所が異なることが多いですが、第2期以降の症状や現れる部位は男女ともに同じです。
梅毒は、性交渉のタイミングや相手などを聞き取る問診、感染部位を特定する診察、血液検査によって診断されます。
ペニシリン系抗菌薬による治療が一般的ですが、アレルギーがあれば他の抗菌薬の服用を検討されることも。
具体的な治療法については、詳しく解説した記事を参考にしてください。
梅毒は感染力が強く、完治しても再感染の可能性があるため、治療後も感染予防を心がけましょう。
具体的な感染予防法は、以下のとおりです。
- 不特定多数の人と性交渉しない
- 新しいパートナーができたら性交渉する前に一緒に梅毒検査を受ける
- 必ずコンドームをつける
- 梅毒の治療中は性交渉を控える
また、梅毒に感染した女性が妊娠すると、子どもが先天梅毒にかかるリスクが高いため、子どもがほしい場合は夫婦で性感染症検査を受けてくださいね。
梅毒の感染初期には、性器などにニキビに似た硬いしこりができ、次第に潰瘍化します。
感染部位に近いリンパ節の腫れもみられますが、どの症状も痛みがほとんどなく、治療しなくとも消失してしまうため、見逃されることも。
しかし、治療せずに放置すると、症状が全身に広がっていきます。
梅毒は、感染の初期段階で気づき治療すれば必ず治る病気です。
ニキビのようなしこりや痛みのない潰瘍、リンパ節の腫れに気づいたら、すぐに医療機関を受診してくださいね。
- 梅毒の初期症状は、性器をはじめとした感染部位のしこり・潰瘍・リンパ節の腫れ
- 感染初期にみられるのは局所的な症状だが、次第に全身に広がり、第3期以降になると臓器や神経にも異常がみられる
- 男女差があるのは第1期に症状が現れる場所のみで、それ以降の症状や潜伏期間は共通している
- 梅毒は感染力が高く何度でも感染する可能性があるため、治療後も感染予防を徹底しよう
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