沢岻 美奈子 医師
プロフィール
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。女性ヘルスケア認定医。神戸にある「沢岻美奈子女性医療クリニック」の院長。子宮がんや乳がん検診、骨粗鬆症検診まで女性特有の病気の早期発見のための検診を2013年の開院以来数多く行なっている。
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2023年における梅毒感染者は約1万5千人と報告され、他人事ではないと不安な人もいるでしょう。
今回は「梅毒になると女性はどのような症状が出るのか」「匂いやおりものなどの症状があるのか」など、女性に見られる梅毒の症状について詳しく解説します。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という感染力の強い細菌によって起こる性感染症です。
2014年ごろから感染者数が急増していて、女性では20代が突出して多くみられます。
梅毒は、主に性交渉やキスなどの性的接触によって、感染者の体液が粘膜や皮膚に直接触れることで感染します。
梅毒は自然治癒することはなく、早期に適切な治療を行えば完治する感染症です。
治療を受けていない女性が妊娠すると、胎児へ母子感染する割合が高く、死産や流産になったり、生まれた赤ちゃんに障がいが現れたりする「先天性梅毒」を引き起こします。
梅毒は一度完治しても、梅毒患者と性的接触があれば再び感染するため、感染予防することが大切です。
女性が梅毒に感染するとどのような症状が現れるのか、感染からの時間の経過とともに確認しましょう。
梅毒は、感染から3週間ほどの潜伏期間を経てから初期症状が現れます。
陰部・口唇・肛門などの感染した部位に、数ミリから3cmほどの大きさの「初期硬結」というしこりが現れ、このしこりが潰れてただれになります。
女性では、膣の周り・大陰唇・小陰唇に症状が現れることが多いです。
オーラルセックスを行った場合は、口唇や口の中にも症状が出ることがあります。
この時期に現れるしこりやただれは、痛みがほとんどありません。
なかには足の付け根のリンパ節が腫れる人もいます。
第1期は、治療を行わなくても数週間で症状は自然に消えますが、梅毒の原因菌は体の中に潜んでおり、他人に感染させる可能性があります。
感染してから治療を行わないまま3ヶ月以上過ぎると、体に潜んでいた梅毒の原因菌は全身に広がります。
この期間によくみられる症状は以下のとおりです。
- バラ疹:体全体に淡く赤い発疹が現れる
- 梅毒性乾癬:梅毒に特徴的な症状で、手のひらや足の裏に10mm程度の赤茶色の盛り上がった発疹ができる
- 扁平コンジローマ:性器や肛門の周りに平べったい形のイボができる
第2期は、人によって発熱・倦怠感・全身のリンパ節の腫れ・脱毛などのさまざまな症状が現れます。
発疹については、第2期も第1期と同様に治療を行わなくても、時間がしばらく経つと症状が消えますが、なかには再発をくり返す人もいます。
治療を行わない限り、梅毒の原因菌は体内に残ったままです。
現在は第2期までに早期治療を受ける人が多くなり、第3期まで進行する人は少なくなっています。
第2期でも治療を行わず、潜伏梅毒のまま感染から3年以上経過すると、皮膚・骨・内臓に「ゴム腫」というやわらかいゴムのようなこぶが発生するようになります。
ゴム腫は周りの組織を破壊するため、骨に発生すると痛みがあるのです。
感染から無治療のまま10年以上経つと、心臓・脳・神経にも障害が現れるようになります。
心臓の血管が感染の影響を受けると「大動脈瘤」が生じ、脳や神経では、認知症に似た症状が現れたり麻痺がおきたりする「神経梅毒」が生じます。
感染から10年以上経ったケースでは、重い障害によって最終的に命を落とすことが多いです。
女性の梅毒の症状について気になることをQ&A形式にまとめました。
ひとつずつ確認しましょう。
もっとも早い時期に現れるのは、性器の周りにできるしこりやただれです。
心当たりのある人は、膣・大陰唇・小陰唇に痛みが少ないしこりやただれが発生していないか確認しましょう。
なかには症状がまったく現れない「無症候性梅毒」で経過する人もいるため、油断は禁物です。
女性が梅毒に感染しても、おりものや分泌液の匂いの変化はほぼありません。
匂いが発生したときは、ほかの性感染症も同時に発症している可能性があります。
梅毒に感染すると、まれにおりものの症状が現れることがありますが、梅毒に特徴的な症状ではありません。
匂いと同様、ほかの性感染症であることが考えられます。
梅毒は感染してからの時間経過によって現れる症状が異なります。
女性が梅毒感染してから3週間ほど経つと、性器や肛門、口周りなど感染部位にしこりやただれなどの症状が現れますが、しばらくすると自然に症状が消えます。
感染から数ヶ月以上経ったときに現れる症状は、バラ疹や梅毒性乾癬などの全身性の発疹です。
梅毒による発疹は、症状が出たり治ったりをくり返す特徴があります。
梅毒に感染しているかどうかは血液検査で判定できるため、心当たりがあれば医療機関や保健所で梅毒検査を受けましょう。
- 梅毒に感染すると、時間の経過によって現れる症状が異なる
- 女性が梅毒に感染してから早期に現れるのは、陰部・肛門・口周りのしこりやただれ
- 梅毒感染後、数ヶ月以上経つと手のひらや足の裏を含む全身に発疹が現れる
- 梅毒の発疹は、症状が出たり消えたりをくり返す特徴がある
- 梅毒の感染は血液検査で判定できるため、心当たりがあるときはすぐに受診する
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