生理時にプルプルとした血の塊がみられたり、出る瞬間が気持ち悪いと感じたりする場合「何か病気が隠れているのではないか」と不安になりますよね。
また、10cm以上の握りこぶし大の血の塊が出たり、多量の経血がナプキンから漏れてしまったりして、不快な思いをする人も。
今回は、生理時に血の塊が出る理由や疑われる病気、妊娠の可能性などについて詳しく解説します。
また、生理での血の塊で受診する目安や、検査・治療法についても扱うので、ぜひ参考にしてください。
結論、生理で血の塊が出る理由は、経血量が多いからです。
月経血とは、子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに膣から体外に出されたもののこと。
剥がれ落ちたばかりの子宮内膜は血の塊で、排出するには子宮の強い収縮が必要です。
子宮が強く収縮すると、強い生理痛を起こす可能性があるため、血の塊を排出させるためにプラスミンという酵素が働き、血の塊を溶かしてサラサラにします。
しかし、経血量が多いと酵素の働きが追いつかず、血の塊のまま排出されることがあるのです。
月経2日~3日目に、血の塊がたまに出る程度であれば、大きな心配はいりません。
しかし、生理期間にほぼ毎日、2.5cm以上の血の塊が多く出てくる時は、過多月経を疑いましょう。
ナプキン交換の度に血の塊が出て気持ち悪い時、過多月経を引き起こす病気が隠れているおそれがあります。
過多月経とは、1回の生理でおよそ150ml以上の出血がある状態です。
血の塊以外に、以下の悩みを抱えている場合は、通常よりも血が多いことを疑いましょう。
- 1時間ほどでナプキンから血があふれる
- 日中でも夜用ナプキンを使用する
- 生理時に貧血気味になる
- 倦怠感やめまい、立ちくらみがある
ここからは、生理で血の塊が出る時に疑われる病気について詳しく解説します。
子宮筋腫は、子宮の筋肉に生じる良性の腫瘍で、30代女性では約3割、40代女性では5割に発生します。
筋腫があると子宮内膜が剥がれる量が増えるため、月経量の増加にともない、血の塊が発生しやすくなるのです。
ほかにも、生理時やそれ以外の期間に腹痛や腰痛がみられたり、不正出血や貧血・めまいに悩まされたりすることもあります。
子宮内膜ポリープは子宮の内側に発生し、過多月経や不正出血、貧血を起こすことがある病気です。
1cm未満のものでも過多月経を引き起こすだけでなく、子宮体がんの前がん病変(癌になる手前の状態)の可能性もあります。
子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮筋層にできる病気です。
月経時に子宮筋腫の中でも出血するため、出血量が増えたり、強い月経痛が起きたりします。
卵胞ホルモン(エストロゲン)という女性ホルモンが子宮腺筋症を悪化させるため、生理がある限り進行を続けるのです。
子宮内膜増殖症とは、子宮内膜が必要以上に増殖し、異常に分厚くなる病気です。
不正出血や月経過多、月経期間の延長がみられ、貧血を起こすことも。
子宮体がんに関連が深い病気で、診断には子宮内膜の組織の一部を採取して調べた検査の結果が重要です。
子宮内膜症とは、子宮内膜に似た組織が子宮の内側以外の臓器で増殖したり、剥がれたりするのをくり返す病気のこと。
月経時の激しい痛みや過多月経が現れる病気で、20代~30代の女性で発症することが多いです。
子宮が肥大化していくため、経血量が増加し、レバー状の血の塊が多く現れます。
生理の度に痛みが強まって、出血量が増えていくのが特徴です。
子宮内膜症は、妊娠しにくい原因になるともいわれています。
生理時に血の塊が出るのは、ホルモンバランスの乱れも大きな原因です。
女性の身体では、月経周期にともなって女性ホルモン分泌量が変化します。
排卵期に向けて卵胞ホルモンの影響で子宮内膜が増殖し、排卵後は着床しやすい状態に整えるのです。
しかし、ホルモン分泌が乱れて排卵が起こらないと、黄体ホルモン(プロゲステロン)が働かなくなるため、卵胞ホルモンが分泌される期間が延長し、子宮内膜が異常増殖してしまうことも。
ホルモンバランスの乱れによる過多月経は、思春期や更年期によくみられます。
血液疾患や甲状腺の病気が原因で、生理時に血の塊が混ざることがあります。
止血・凝固に異常が現れると、血の塊や過多月経がみられるのです。
基本的に、血の塊が出た時は、妊娠超初期にみられる着床出血ではなく、生理だと考えられます。
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に潜り込む時に、子宮内膜が傷つくことで起きるもの。
サラサラとした鮮血や、少量の茶色い出血であることがほとんどです。
ただし、着床出血には個人差があるため、生理1週間後以降に妊娠検査薬を使用しましょう。
プルプルとした血の塊が出る場合、化学流産の可能性もあります。
化学流産とは、妊娠検査薬で陽性になるものの、超音波検査で胎嚢が確認されず、生理のような出血が起こり流産すること。
妊娠検査薬を使用しない限りは、化学流産に気づかない人もいます。
血の塊がみられる頻度が高くない場合は、経過観察します。
しかし、生理の度に症状が強まっていたり、日常生活に支障が出る痛みや貧血などがある場合は、すぐに婦人科を受診するべきです。
ここからは、受診の目安になる具体的な症状や、検査や治療方法を解説します。
以下の症状がみられる時は、婦人科を受診しましょう。
- ナプキン交換の度にレバー状の塊が多くみられる
- ゴルフボール大の血の塊が混ざっている
- 多い日用ナプキンを使用しても、約1時間で血であふれる
- めまいやふらつき、動悸などの貧血症状が、月経中・後に悪化する
- 出血量が多く、夜用ナプキンを付けても翌朝に経血が漏れている
婦人科では、基礎体温のチェックや月経の状態の聞き取りをおこない、超音波検査やホルモン検査で病気の有無を調べます。
生理中に血の塊が出る場合の治療方法はさまざまです。
重症度や血の塊が出る原因、体質にあわせて、以下の治療法が選択されます。
- 子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ)
- 低用量ピル
- 黄体ホルモン剤
- GnRHアナログ製剤
- 手術療法
また、過多月経による貧血には鉄剤の投与が行われます。
生理時の血の塊は、経血量が多く酵素のサラサラにする作用が追いつかない場合にみられます。
血の塊がたまに出る程度であれば、大きな心配は必要ありません。
しかし、大きな血の塊がナプキン交換のたびにみられたり、生理時に貧血気味になったりする場合は、何らかの病気による原因の過多月経を疑いましょう。
また、気付かないうちに化学流産しているケースもあります。
生理の度にレバー状の塊が出たり、いつもと違う症状がみられたりする場合は、婦人科を受診して検査・治療を受けてくださいね。
- 生理で血の塊が出る理由は、経血量が多くサラサラになりきらないから
- 生理期間のほぼ毎日、2.5cm以上の血の塊がみられる時は過多月経の可能性を疑う
- 子宮の病気やホルモンバランス、甲状腺の病気、血液疾患が血の塊の原因になることも
- ナプキン交換の度にレバー状の塊が多くみられたり、経血量が多すぎてナプキンから漏れたりする場合は、婦人科を受診する
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