生理の終わりかけのダラダラと続く出血や、おりものによるデリケートゾーンのムレや臭いを改善したい時に、腟洗浄をおこなう人は多いです。
不快感を拭ってすっきりできる腟洗浄ですが、誤った方法では、腟内環境の悪化や細菌感染を引き起こすリスクも。
今回は、腟洗浄とはどのような効果があるかを解説するとともに、正しい方法や腟洗浄器の選び方をみていきましょう。
おりものが気になる時の受診についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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腟洗浄とは、専用の腟洗浄器を使用して腟内を洗い流すことをさします。
腟内の汚れを洗い流せるため、すっきり感を得られるでしょう。
しかし、毎日おこなうと膣内環境を崩してしまうため、適切なタイミングを選択しなければなりません。
ここからは、腟洗浄をおこなうタイミングについて解説します。
生理4日目以降に出血がダラダラ続く時に、腟洗浄をおこなうと、出血がある期間を短縮できる可能性があるでしょう。
生理の最後2日〜3日は、腟に残った経血が少しずつ排出されているだけだといわれています。
少量の出血がダラダラ続いているときに腟内洗浄をおこなえば、生理用ナプキンの使用枚数を減らせたり、ムレやかぶれなどの肌トラブルを避けられたりするでしょう。
生理を早く終わらせる方法については、以下の記事でくわしく解説しています。

おりものが増えてデリケートゾーンの臭いが気になる時、腟洗浄をおこなうことで改善されるかもしれません。
ただし、細菌性膣症やクラミジアなどの感染症によって悪臭が起こっている場合は、腟洗浄では治療できないので、婦人科で適切な治療を受けましょう。
注意すべきデリケートゾーンの臭いについては、以下の記事でくわしく解説しています。

性交渉が終わったあと、デリケートゾーンを清潔に保つために、腟洗浄をおこなうのもよいでしょう。
ただし、膣に残った精液を腟洗浄で洗い流しても、妊娠を防げるわけではない点に注意してください。
腟洗浄は、専用の腟洗浄液を腟内に入れておこないます。
シャワーやトイレのウォシュレットでおこなうのは危険です。
腟内は、デーデルライン桿菌という乳酸菌によって弱酸性に保たれており、雑菌の増殖を防ぐ自浄作用が働いています。
シャワーやトイレットのウォシュレットに使われている水道水はアルカリ性のため、これらで腟内を洗うと腟内環境を悪化させてしまいます。
腟洗浄をおこなう時は、専用の腟洗浄器を購入してくださいね。
専用の腟洗浄器は、使い捨てビデとも呼ばれ、管理医療機器に分類されるものです。
腟洗浄器のタイプは、大きく2つに分けられます。
腟洗浄器にはさまざまな商品があるため、どれを使えばよいか迷うかもしれません。
「すぐにすっきり感を得たい」「腟内環境を守りながらケアしたい」といった希望に合わせて選びましょう。
ここからは、腟洗浄器のタイプや、自分に合った商品の選び方を紹介します。
洗浄力を期待して腟内洗浄をおこなうなら、精製水が入っているタイプがおすすめです。
おりものや経血をさっと洗い流せるため、すぐにすっきり感を感じられるでしょう。
頻繁に使うと、腟内の乳酸菌まで取り除いてしまうおそれがあるため、説明書をよく読んで使用回数を守ってくださいね。
乳酸が配合された洗浄ジェルが使われているタイプは、腟内環境を悪化させにくいため、日常的に使用できる商品も多いです。
ただし、使用後にはすぐに排出されず、徐々に膣外に出てくるため、おりものシートやナプキンの使用が必要になります。
すっきり感を実感しにくいのがデメリットでしょう。
腟内洗浄器を選ぶ時は、無理なく挿入できるものを選ぶとよいでしょう。
たとえば、挿入部分が濡れていたり、ノズルの角度を変えられたりするものは、スムーズな挿入を助けてくれるため、腟内洗浄の初心者でも使いやすいですよ。
腟洗浄は、使用する腟洗浄器の説明書をよく読んでから、正しく使用しましょう。
ここでは、正しいやり方を解説します。
- 手をしっかり洗い、清潔にする
- 腟洗浄器を開封し、使用できるようにセットする
- トイレの便座やお風呂で45度くらいの前傾姿勢をとる
- 息を吐きながら、膣口にゆっくりノズルを差し込む
- ボトルを押して精製水や洗浄ジェルを挿入する
- 膣からノズルを引き抜き、腟洗浄器を破棄する
- ジェルタイプを使った後は、ナプキンやおりものシートをあてる
使った腟洗浄器は挿入部分が不潔になっているため、再利用せずにすぐに破棄しましょう。
女性の腟内は、雑菌が繁殖しないように弱酸性に保たれているため、チーズやヨーグルト、お酢を薄めたような臭いを感じるかもしれません。
特に生理前には、より臭いが強くなると感じる人もいるでしょう。
生理前のおりものは粘り気が強く、白濁していることも多いため、いつも以上にデリケートゾーンのムレや臭いが気になりやすいです。
病気によって、おりものの臭いが変わることもあるため、注意が必要です。
ここからは、おりものの臭いが気になる時の対処法や、病院を受診すべきおりものの様子を紹介します。
おりものの臭いが気になる時は、以下の方法を試してみてください。
- 通気性のよい下着をつける
- おりものシートをつける場合は、こまめに交換する
- お風呂ではデリケートゾーンをしっかり洗う
- 質のよい睡眠をとる
生活習慣の乱れやストレス、疲労によって免疫力が低下すると、おりものの臭いがきつくなりやすいです。
おりものの変化を、日常生活を見直すきっかけにするのもよいでしょう。
おりものに次のような変化がみられたら、一度婦人科を受診しましょう。
- 灰白色のおりものが出て、イカ臭いと感じる:細菌性腟症
- 強い臭いとともに、カッテージチーズや酒粕状の白いぽろぽろしたおりものが出る:腟カンジダ症
- 泡状で黄緑色のおりものが増えて、生臭いと感じる:腟トリコモナス症
適切な治療によって改善がみられるため、放置せずに必ず婦人科で医師に相談してください。
腟カンジタ症の場合、婦人科で腟洗浄をおこなうケースもあります。
腟内を洗い流す腟洗浄は、生理の終わりかけの出血が気になる時や、おりものの臭いが気になる時、性交渉後におすすめです。
ただし、おりものの臭いが気になるからといって、毎日おこなうと腟内環境の悪化を引き起こす可能性があるため、説明書をよく読み、正しい使用方法・頻度を守りましょう。
腟洗浄には専用の腟洗浄器を使い、シャワーやウォシュレットではおこなわないでください。
通常、腟内は弱酸性に保たれているため、酸っぱい匂いを感じやすいものです。
おりものの臭いや色によっては、病気が隠れている可能性もあるため、婦人科を受診しましょう。
- 腟洗浄は毎日おこなうものではなく、生理の終わりかけや性交渉の後など適切なタイミングを考えよう
- シャワーやウォシュレットでの洗浄はおこなわず、腟洗浄には専用の器具を用いよう
- 腟洗浄器には精製水タイプとジェルタイプがあり、目的や使いやすさによって自分に合うものを選ぶ
- おりものの臭いや色に異常がみられる時は、婦人科を受診しよう
- 腟カンジダ症の場合、婦人科で腟洗浄をおこなうことも