須山 文緒 (すやま ふみお) 医師
プロフィール
京都大学医学部卒業、倉敷中央病院、国立成育医療研究センター、新百合ヶ丘総合病院の勤務を経て、2022年から杉山産婦人科新宿に勤務。
https://www.sugiyama.or.jp/doctor/shinjuku
アフターピルは、避妊できなかったり避妊に失敗したりしたときに、性交渉後に飲む緊急的な避妊方法です。
今回はアフターピルについて、効果・副作用・低用量ピルとの違いについて解説します。
いざ必要となったときのために正しい知識をもち、落ち着いて対応できるようにしましょう。
アフターピルは緊急避妊薬とも呼ばれ、避妊をしないで性交渉をおこなったり、避妊に失敗してしまったときに、望まない妊娠を防ぐために用いる薬です。
アフターピルは避妊できなかった性交渉のあと、所定の時間内に飲むと避妊効果が得られます。
アフターピル使用後、次回の生理予定日から1週間後までに生理が来れば避妊成功です。
生理予定日から1週間以上経っても生理が来なかったり、いつもの生理と違う場合は、妊娠の可能性があります。
産婦人科を受診する前にまずは妊娠検査薬を用いて、妊娠の有無を確認しましょう。
日本国内で使われているアフターピルは3種類です。
それぞれの薬の成分や飲み方、値段の相場について解説します。
※アフターピルは自由診療のため、全額自己負担となり、価格は処方を受ける施設が決定した金額となります。
レボノルゲストレル法は、黄体ホルモンのレボノルゲストレルが高用量含まれている錠剤を、性交渉のあと72時間以内に1回1錠飲む方法です。
厚生労働省で認可されている薬にノルレボ錠1.5mg、レボノルゲストレル錠1.5mg「F」があります。
レボノルゲストレル法の値段相場は、8,000円~15,000円です。
ヤッペ法は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤を性交渉のあと72時間以内に2錠(1回目)服用し、12時間後にもう2錠(2回目)服用する方法です。
ヤッペ法で使う薬は、中用量ピルのプラノバール錠であり、価格(値段相場)は4,000円~8,000円です。
WHOの調査でヤッペ法は、レボノルゲストレル法より有効性が低く、副作用が多いことが確認されたため、日本国内で使用する機会が少なくなっています。
ウリプリスタール法は、黄体ホルモン受容体調整剤のウリプリスタル酢酸エステルが含まれている錠剤を、性交渉のあと120時間以内に1回1錠飲む方法です。
ウリプリスタール法で使う薬は日本において未承認であるため、海外から輸入された薬剤を一部の医療機関で処方しています。
ウリプリスタール法の値段相場は、9,000円~16,000円です。
アフターピルも低用量ピルも避妊のために用いる薬ですが、目的や飲み方に違いがあります。
アフターピルは、望まない妊娠を防ぐための緊急的かつ最終的な手段です。
一方で低用量ピルは、毎日服用を続けることで99%以上の避妊効果が得られます。
低用量ピルは避妊効果のみではなく、月経痛や月経不順を改善したり、PMS(月経前症候群)の症状をやわらげたりする効果もあります。
結論からいうと、低用量ピルとアフターピルは併用しても差し支えありません。
低用量ピルを服用していても、効果が十分得られない状況で、妊娠率の高い時期に性交渉があった場合は、アフターピルの使用を検討しましょう。
低用量ピルの効果がきちんと発揮できていないケースは以下のとおりです。
- 低用量ピルを3錠以上飲み忘れた
- 低用量ピルの効果が弱くなる薬やサプリメントを服用した
- 下痢や嘔吐があり、低用量ピルの成分が吸収されなかった
アフターピルの種類ごとの妊娠阻止率(避妊成功率)と、妊娠を防ぐ仕組みについて詳しく解説します。
アフターピルの妊娠阻止率(避妊成功率)は、全体でみると約60~90%です。
アフターピルの種類や性交渉後の服用までの時間によって妊娠阻止率は次のように異なります。
- 24時間以内 77%
- 48時間以内 36%
- 72時間以内 31%
- 24時間以内 95%
- 48時間以内 85%
- 72時間以内 58%
- 72時間以内 95%
- 120時間以内 85%
アフターピルは種類にかかわらず、避妊できなかった性交渉から24時間以内に服用した方が妊娠阻止率(避妊成功率)が高くなります。
望まない妊娠を防ぐためには、できるだけ早くアフターピルを飲むことが大切です。
しかし、アフターピルをどれだけ早く内服しても100%の避妊効果は得られません。
また、性感染症を防ぐことはできません。
コンドームの破損や性被害にあったケースでは、折をみて性感染症検査を受けるようにしましょう。
妊娠とは、排卵・受精・着床によって成立します。
アフターピルの服用によって、妊娠を防ぐ仕組みは次のとおりです。
排卵前にアフターピルを使用できた場合、排卵が数日抑えられます。
その期間中に子宮内に存在している精子の受精能力がなくなるため、受精の機会を妨げられます。
また排卵後に使用した場合では、受精が成立しても、子宮内膜への着床を妨げる効果があります。
アフターピルの主な副作用は、吐き気、眠気、下痢、めまいなどです。
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
吐き気はアフターピルでもっとも多い副作用です。
ヤッペ法が最も吐き気や嘔吐の副作用が多いです。
レボノルゲストレル法では吐き気の副作用は少ないです。
吐き気が強くて、服用してから2時間以内に嘔吐してしまうと薬の効果が十分に得られないため、アフターピルを飲み直す必要があります。
成分の女性ホルモンが原因で、アフターピル服用後に眠気が出ることがあります。
アフターピルを飲むと急激にホルモンバランスが変化するため、下痢を起こすことがあります。
症状は一過性であるため心配はいりません。
アフターピル服用後に、体がフワフワする・立ち上がったときにくらくらする・周りがぐるぐる回転しているように感じるといった症状が出ることがあります。
アフターピルによってホルモンバランスが大きく変わるため、不正出血がよくみられます。
服用してから3日以上経過していれば、消退出血の可能性が高いです。
出血の色は茶色から鮮血まで、人によって異なります。
アフターピルは市販薬ではないため、ドラッグストアや薬局で販売されていません。
そのため、医療機関で処方してもらう必要があります。
アフターピルを入手する流れは以下の2通りです。
医療機関を直接受診すると、医師や看護師としっかり話ができるメリットがあります。
厚生労働省のホームページで、対面診療ができる医療機関が公表されています。
オンライン診療は、クリニックへ直接受診するのは気が引ける方や都合がつかずクリニックの開院時間に受診ができない方におすすめです。
パソコンやスマホがあれば、都合のよい場所で診察を受けられます。
夜間・休日など一般のクリニックが休診している時間帯でもアフターピル処方が受けられる場合もあります。
アフターピルはインターネット上などで、海外からの並行輸入品が販売されていますが、粗悪品や偽物が多くみられます。
健康被害を受ける可能性があるため、通販サイトから購入するのは止めましょう。
アフターピルは、避妊せずに性交渉をしたり避妊に失敗したりしたとき、望まない妊娠を防ぐために性交渉後に緊急的に内服する薬です。
日本国内で使用されるアフターピルは3種類ありますが、種類にかかわらず避妊できなかった性交渉から24時間以内に服用すると避妊成功率が高くなります。
アフターピルの主な副作用は、吐き気・眠気・下痢・めまいです。
アフターピルが必要な場合は、クリニック受診やオンライン診療で医師に相談して処方してもらい、通販サイトなどで個人購入するのは避けましょう。
- アフターピルは、性交後に緊急的に飲んで望まない妊娠を防ぐ薬
- 種類にかかわらず、アフターピルは性交後できるだけ早く飲んだ方が避妊成功率が高い
- アフターピルの副作用は、眠気・下痢・出血・吐き気・めまいがある
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